プロレスレビューログ

プロレスを見て思いの丈を綴るブログ。

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ドラゴンゲート神戸ワールド2連戦レビュー シュンvsKzy/吉野正人引退試合

Dragon Gate Kobe Pro-Wrestling Festival 2021 - Tag 1 2021/7/31


Open The Dream Gate Title Match
シュン・スカイウォーカーvsKzy

若くしてドリームゲートを巻いた王者と幾度も挑戦しながら夢の扉を開くことは出来ていない挑戦者。
新テーマでKzyが入場し期待感を煽ります。序盤はKzyのクモガラミを見せつつ静かな進行。
どう動かしてくるのか、と思いきやエプロンからのモンキー・フリップでKzyをコンクリートの床に叩きつけます。
普通の試合だったらこれで決着がつきそうなビッグ・スポットですがシュンは止まらない。
Kzyをロープに括り付けるとヘッドシザースで頭からマットに突き刺します。とにかく攻めて攻め抜く。
この日のシュンは攻め達磨になっていましたね。ある意味では受けを放棄しているともとれるが
プロレスは共同作業なので問題なし。Kzyがダウンベースで構築しつつも要所で反撃するリズミカルなスタイルを見せます。
先輩の戸澤陽の技も見せつつ終盤戦へと移行。ロジカルよりもダイナミックに。シュンの技のインパクトはドラゴンゲート、
いや日本プロレス界で三指に入るぐらい切れ味鋭く、一発一発攻撃が入るごとにKzyのスタミナを削っていきます。
攻防も凄まじく、翌日も防衛戦があると思えない内容で、完全燃焼し切っています。Kzyのここぞで見せる丸め込みや
サブミッションも試合にボリューム感を付与していた。24分の試合だが中身はそれ以上。これは必見ですよ。

4.5


Dragon Gate Kobe Pro-Wrestling Festival 2021 - Tag 2: Speed Star Final 2021/8/1


Open The Dream Gate Title Match
シュン・スカイウォーカーvsYAMATO

戸澤が去り、CIMAが去り、鷹木が去ったドラゲーマット。否が応でも団体の壁を任される役目を担うことになったYAMATO。
その壁を越えていかんとするシュン。ドラマ性は二夜目も十分です。序盤からウォール・トゥ・ウォールで動かしていくと
花道でシュンがブレーンバスター。負けじとYAMATOもエクスプロイダー。しかし反撃の芽を摘み取るかのように
エプロンに叩きつけるシュン。この日のシュンはただ攻めるだけでなくYAMATOの反撃を切る、その切り方が卓越していた。
年齢で見るわけではないですが、これでまだ20代なのかと末恐ろしさを感じてしまいます。一方のYAMATO。
Kzyとは技セットが違うので上手く一進一退を作っていますね。スリーパーの重ね掛けという点が
最たる部分です。クモガラミはグラウンドのサブミッションですがスリーパーはスタンディングのサブミッション。
つまりタテ方向へのリアクション、立体的な見せ方が出来るという点です。ゴー・トゥ・ホスピタルの
使いわけといいより四次元的な見せ方をこの日のYAMATOは見せていた。それだけではなく攻防の質が恐ろしく高い。
技は正確すぎるとゲームを見ているようでつまらない、という言葉にはこの二人は当てはまりません。
SSWを返す説得力、ただ単に物量勝負に行かない奥ゆかしさまである。そしてここで王座陥落という
他団体ファンが見れば時代を戻した、ともとられかねない批判を試合内容で捻じ伏せた大激戦。

4.0


Tag Team Match
吉野正人&土井成樹vsR.E.D.(BxBハルク&Eita)

首の怪我の為引退を表明した吉野。実況はいつどんな時も見守ってきた市川アナ、解説は師匠ウルティモ・ドラゴン、
対角線に立つは数々の試合を繰り広げてきたR.E.D.、そしてパートナーは名タッグでありライバルである土井成樹。
序盤は静かに始め、土井吉の連携をチラ見せしていきます。吉野は引退を控えながら一定以上のコンディションを作ってきており、
これで引退してしまうのか、と惜しむ声も上がるほど。中盤は吉野の孤立。ハルクがアクションで、Eitaがスニーキーさで
煽っていきます。反撃の際には吉野のムーブを一つ一つ見せていく展開。初めて吉野の試合を見る人でも分かるぐらいに丁寧に
噛み砕いて分かりやすく展開していきます。終盤はR.E.D.の攻めを吉野が防戦一方になりながら受ける、というもの。
引退試合で負けるというのはよくあることですが、あまり適切でない言葉を使うと禊に見えるほど技を受けまくります。
これは観客に本当に最後なんだ、というものを刻み込むということなのでしょうね。弁慶の大往生という言葉があります。
吉野正人は神戸ワールド記念ホールのマットの上で選手として最後まで灯を燃やし切った。ありがとう、吉野正人。
ありがとうという言葉だけでは足りないのは分かっているが、ありがとうという感情しか浮かばない。叙事的な試合。
"エモい"という言葉の対になる、重くて一つの標になる試合でした。

4.0

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